2007年7月7日土曜日

Googleブック検索

 かねて予告されていた「Google ブック検索」が日本でもはじまった(ITmediz)。データを提供しているパートナー出版社はごくすくないが、慶応大学が参加しており、慶応大学図書館の蔵書のうち、著作権保護期間の終了している12万冊が検索対象にはいったそうである(ITmedia)。
 「安部公房」で検索したところ、18点がひっかかった。第12位以降は中国で発行されている中国語の書籍なので、実質11点である。第1位はドキュメンタリー作家の佐藤真氏の映画論、第3位は安原顕氏の読書論、第4位は木田元氏と竹内敏晴氏の対談本だったが、他は未知の著者だ。出版社が最近話題の新風社や春風社となっているところを見ると、自費出版かもしれない。第2位の山田雄一郎氏は大学の先生らしいが、引用元が『第間氷期』になっていた。
 電子テキストはもっているはずだが、画面に表示されるのはAmazonと同様、スキャンした書影画像である。書店であるAmazonが書影画像を使うのは当然としても、Googleまで書影を使うのは問題ではないかと思う。書影のネット公開が慣行化していくと、版面権がなしくずし的に成立してしまう可能性があるからだ。
 著作権保護期間の死後70年延長は99.9%の物書きにとっては影響はないに等しいが、版面権は違う。版面権は物書きの活動に直接影響してくる。文藝家協会はGoogleにただちに書影の使用中止と、電子テキストによる検索結果の公開を申しいれるべきではないか。